気分障害

気分障害

うつ病

うつ病のスクリーニングとして最も感度の高い質問は、「憂うつ感や、気分の落ち込みを感じていますか?」ですが、うつ病の診断率は57%に過ぎず、「物事に対して興味がわかない、あるいは何もしたくないですか?」という質問を加えると、診断率は90%に跳ね上がるという調査結果があります。
うつ病の自己診断法の簡単な方法として、「気分の落ち込み」と「物事に対する興味の喪失」の有無を確認されるとよいでしょう。
次にうつ病の症状・病因・治療などについて分りやすく説明致します。

精神症状

  • 気分・感情の障害

    強い憂うつ感、悲哀感、不安感、イライラ感、焦燥感、何とも言えない不快感、寂しさ、無力感など、人にとって不快と考えられる気分・感情が強くなり、逆に喜びの感情が失われます。
  • 気力の減退、行動・思考の抑制

    気力、やる気、意欲などが減退し、同時に、興味や関心も低下します。日ごろ面白いと思って打ち込んでいた趣味に対しても同じで、何をやっても面白くない、何もやりたくないという気持ちが支配的になります。行動面もかなり抑制されます。日ごろ普通にできていた用事・日常作業などがとてつもなく大変なものに思えたりして、実際に作業量が落ちます。また人と会うことがとても苦痛なものになり、引きこもり勝ちになります。思考面にも障害が生じます。「頭が働かない」「集中できない」「考えがまとまらない」「判断力が低下した」「記憶力が落ちた」という状態になり、実際に精神作業能力が低下することがあります。
  • 思考内容の変化

    あらゆることに悲観的になり、悪いほうへ悪いほうへと考えてしまい、何の希望も持てず、絶望感が支配します。
  • 自己評価の低下

    劣等感、無能力感が強くなり、自信が無くなります。また、自己嫌悪・自己否定が強くなり、常に自分が悪いと考え、自責の念、罪責感が強くなります。

身体症状

  • 睡眠障害

    一番多いのが夜間・早朝覚醒で、夜中に目が覚めた後なかなか眠れません。寝つきが悪い、熟眠感が無いなどもあります。
  • 疲労感、全身倦怠感。
  • 食欲不振、吐き気、食物に味がない、便秘などの消化器症状。
  • 動悸、胸部の苦悶感、頻繁な尿意、口渇、耳鳴り、冷え感などの自律神経失調症状。
  • 性欲の低下

病因

正確な病因はまだ十分には分っておりませんが、幾つかの要因が重なり合っ て発病すると考えられます。

  • 状況因

    • 個人・家庭に関係する出来事
      家族・近親者の死、病気・事故、家庭内不和、離婚、更年期・老化、家屋・財産などの喪失、裏切り・いじめにあうなど。
    • 職業に関係する出来事
      職場の困難な人間関係、自己の業績不振、左遷・退職・定年、職場の異動、不景気など。
  • 性格因

    うつ病になりやすい性格が考えられています。
    具体的には、勤勉、良心的で、責任感が強く、仕事に正確・綿密を期し、完全癖で几帳面、要求水準が高いといった傾向があります。また、対人関係は、なるべく他者に合わせ衝突を避けようとしますし、他を攻撃するよりは自責的になる特徴があります。
  • 身体因

    脳血管障害や認知症、甲状腺機能低下症、がんなどの疾患によるもの。ステロイド・インターフェロン・降圧剤などの薬剤によるものが考えられます。

治療

うつ病はこころの疲労ですから、まず第一に十分休養を取ることが最も大切なことと考えます。必要があれば薬物による治療を致します。当院では薬物治療に抗うつ薬だけでなく、漢方を併用しております。また新薬を副作用の為服用出来ない方には漢方のみで対応しております。

躁うつ病(双極性障害)

躁うつ病は現在では双極性障害と呼ばれています。躁とうつの二つの極があるという意味です。Ⅰ型とⅡ型に分けられ、Ⅰ型の躁状態はしばしば入院が必要となるほどの重篤な症状になることが多く、Ⅱ型の躁状態は軽躁状態と呼ばれ、それ程激しくない為本人も家族も気付かないことが多く、単極性の「うつ病」と診断され治療を受けているケースが多く見受けられます。
気分(感情)の波が激しく、気分が高揚すると、よくしゃべったり、電話をかけまくったり、買物の衝動が抑えられなくなったり、短時間の睡眠で一日中活動できたりします。また、些細な事でイライラしたり、攻撃的になって感情が爆発する(キレる)こともよく見られますし、パチンコや競馬などの賭博に借金をしてまでのめり込むタイプも見られます。うつ症状と共に上記の症状を認める場合には双極性障害を疑ってみるべきでしょう。
自殺リスクが高く、自傷・薬物乱用・不安障害などその他の精神的問題の併発も多く見られます。また遺伝要因の関与が高いことが指摘されています。双極性障害は回復しても90%以上で再発すると言われており、再発予防のための気分安定薬服用の継続が一般的となっております。つまり生涯にわたって障害と付き合う必要があると言えます。
単極性うつ病と似ている病気と思われがちでしたが、実際は全く違う病気・障害であることが分かってきました。発病のメカニズムや治療に使われる薬も全く異なっております。
今迄単極性うつ病として治療されてきてなかなか改善しない人たちの多くにこの病気が含まれております。

心療内科系疾患の説明

気分障害うつ病、躁うつ病(双極性障害)
神経症性障害パニック障害(広場恐怖)、社会不安障害、強迫性障害、全般性不安障害
ストレス関連障害適応障害、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害
身体表現性障害身体化障害、疼痛性障害、心気症